土曜日に手術をして、月曜日には、
何事もなかったかのように仕事をした。
 
妊娠する前、
あかちゃんがお腹にいるとき、
いなくなった後。
 
外見は、何一つ変わっていない。
 
 
ひとついのちが宿り、
人知れず死んでいったことなど、
誰も知らない。
気づかない。
 
職場では、今まで通り、話したり、笑ったりしてなきゃいけない。

でも、会社の友達と何を話してたって楽しくなんかなかったし、
笑っても、たぶん目は笑ってなくて、
空っぽの笑いにしかなっていない。自分でそう感じた。

ただ、身体だけは回復に向かっていて、
手術の翌々日には、出血も目に見えて減った。
下腹部痛もほとんどなくなった。
予想していたより、ずっと回復は早かった。

『激しい運動とか、長時間のたち仕事なんかをすると出血が増えるから、
 決して無理はしないこと』
そう言われていた。
 
 
でも、あたしは、無理やり動いて、走って、無理して。
それで身体がぶっ壊れてくれるなら、
いっそそうしてしまいたいと、そう思っていた。
 
 
実際に無茶をしたわけではなかったが、
木曜日、あたしは生理痛みたいな腰痛と下腹部痛に襲われた。
そしてその翌日には、急に出血が増えた。
 
でも、不安も心配もしなかった。
あかちゃんのいない自分の身体に、たいした関心は持てなかった。
 
 
 
そして手術から一週間が経ち、再び病院へ行った。

Kさんが病院に連れて行ってくれた。

その日は、診察の後、あかちゃんの供養に行こうと決めていた。

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