中絶手術 ?

2007年2月20日 恋愛
予定より30分近く早い時間に、
退院を許された。

退院前に、術後の注意事項を書いた紙を渡され、
薬をもらった。
 
 
 

今日、明日はシャワーも禁止。
明日は、出歩かず、安静にすること。
3週間くらいは、セックスもお酒も、
運動、お風呂、辛いもの、すべて禁止。
激しい痛みや多量の出血があるときは、必ず来院すること。

そんな説明を受けた。

「今度の土曜日に、再診に来てください。
 そのときに、次の生理がいつごろになるかとか、
 詳しく説明するから」
 
 
病院を出るまえに、おむつみたいなナプキンから、
自分の持ってきた下着にはき替えた。
おむつみたいな物の中に、
更に自分が持ってきたナプキンがつけられていた。

ナプキンは、隅から隅まで、血を吸って真っ赤になっていた。
それが、あかちゃんの残骸みたいに思えて、あたしはゾッとした。
目を凝らして探せば、
あかちゃんのかけらが混じっているのではないかと思えた。

胸がずき、として、
自分がすごく残酷なことをしてしまったんだという自覚が、
改めて湧いた。
 
 
 
回復室から病院をでるまでに、待合室がある。
そこにいる誰かが責めるわけでもないのに、
あたしは顔を見られないよう、うつむいて病院を出た。
 
 
想像していたより、身体はずっと楽だった。
手術をする前より、楽になったような気がした。
だけど、それが逆に申し訳なくて、後ろめたかった。
 
あかちゃんを殺してしまったのに、あたしだけ、楽になるなんて。
 
もっともっと、痛くて良いのに。
苦しくて良いのに。
 
 
 
病院から出ると、Kさんの車が見えた。
Kさんが、走って出てきて、あたしを支えてくれた。
 
「だいじょうぶ?」Kさんがきいた。
「うん・・・・・・」
あたしは急に力が抜けてしまって、車のシートにもたれかかった。

「夜から、何も飲んでないんでしょ」
飲み物を買ってくれたが、あたしは何も飲む気にはなれなかった。
ひとくちだけ飲んで、目を閉じた。
 
ひとりでたくさん泣いたから、涙はでなかった。

身体は軽い。
だけど、「健康になった」という感じは消えていて、
中が空洞になってしまっているみたいに思えた。

あたしは、ぽかんとしていた。

空虚、とか、そんな言葉が浮かんだ。
 
 
 
帰りの車中。
Kさんが、行くときにしたみたいに、下腹部に手をおいた。
 
 
「もう、何もいないよ」

あたしは言った。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索