看護師さんに呼ばれ、処置室に通された。
診察台をもう少し大きくしたような台に寝かされ、
両足をベルトで固定された。
天井には、ライトがいくつも付いた
円盤みたいものがあった。
ドラマの手術シーンでよくでてくるやつだ。
本当に手術するんだなあ、とぼんやり思った。
「麻酔をすると、舌で喉を塞いでしまうことがあるので、
気道を確保しますね」
そういって、肩の下に枕のようなものを入れられた。
そして、目隠しをされた。
あたしは、緊張で氷みたいに冷えた手をずっと下腹部にあてて待った。
道具を準備する、カチャカチャという金属音が、妙に耳をついた。
お医者様がはいってきて、あたしは事前の問診のことで、
いくつか更に質問を受けた。
でも、何か気になる内容があったというよりは、
緊張をほぐすためにきかれたみたいだった。
実際、話をしているあいだにどんどん処置が進められていて、
あたしは緊張こそすれ、怖気づく余裕はなかった。
前処置のときと同様、ぶっきらぼうな診察のときとはうって変わって、
お医者様は優しかった。
もしかして、何万人という患者を診ているお医者様にとっても、
『中絶』というものは悲しいものなのかもしれない。
だから、不機嫌な口調だったのかもしれない。
ふと思った。
話をしている間に、肩と腕に注射をされた。
「全身麻酔だから、10数えるまでに眠くなるよ」
そういわれて、あたしは数をカウントした。
5くらいまで数えた時、お医者様が「眠い?」ときいた。
それが合図だったかのように、ふぅっと頭が重くなった。
睡眠薬をたくさんのんで眠るとき、
ふっと地中に落ちていってしまうような感覚になる。
そういう、強制的な眠気だった。
「眠いです・・・・・・」
そういったのを最後に、あたしの意識は飛んでしまった。
この後死んでしまう、あかちゃんのことを想う余裕すら、なかった。
診察台をもう少し大きくしたような台に寝かされ、
両足をベルトで固定された。
天井には、ライトがいくつも付いた
円盤みたいものがあった。
ドラマの手術シーンでよくでてくるやつだ。
本当に手術するんだなあ、とぼんやり思った。
「麻酔をすると、舌で喉を塞いでしまうことがあるので、
気道を確保しますね」
そういって、肩の下に枕のようなものを入れられた。
そして、目隠しをされた。
あたしは、緊張で氷みたいに冷えた手をずっと下腹部にあてて待った。
道具を準備する、カチャカチャという金属音が、妙に耳をついた。
お医者様がはいってきて、あたしは事前の問診のことで、
いくつか更に質問を受けた。
でも、何か気になる内容があったというよりは、
緊張をほぐすためにきかれたみたいだった。
実際、話をしているあいだにどんどん処置が進められていて、
あたしは緊張こそすれ、怖気づく余裕はなかった。
前処置のときと同様、ぶっきらぼうな診察のときとはうって変わって、
お医者様は優しかった。
もしかして、何万人という患者を診ているお医者様にとっても、
『中絶』というものは悲しいものなのかもしれない。
だから、不機嫌な口調だったのかもしれない。
ふと思った。
話をしている間に、肩と腕に注射をされた。
「全身麻酔だから、10数えるまでに眠くなるよ」
そういわれて、あたしは数をカウントした。
5くらいまで数えた時、お医者様が「眠い?」ときいた。
それが合図だったかのように、ふぅっと頭が重くなった。
睡眠薬をたくさんのんで眠るとき、
ふっと地中に落ちていってしまうような感覚になる。
そういう、強制的な眠気だった。
「眠いです・・・・・・」
そういったのを最後に、あたしの意識は飛んでしまった。
この後死んでしまう、あかちゃんのことを想う余裕すら、なかった。
コメント