翌日、病院に行った。
いつもOCをもらいに行っている婦人科。
「妊娠の検査をしたいのですが」
予約の電話でそういったとき、声が震えた。
その日に限って病院は混んでいて
1時間近く待った。
お医者様はあたしが未婚であることもしっている。
2週間くらい、ピルを飲まなかった期間があること話した。
市販の薬で陽性が出たことも。
「エコー検査のほうが、赤ちゃんの姿をハッキリ確認できるから、
とってみようか」
尿検査の結果もいわずに、お医者様が言った。
「ああ、やっぱりできてたんだ」って思った。
そうじゃなきゃ、まずは尿検査の結果を教えてくれるはずだ。
下着をとり、検査台に座った。
足が震えてた。
「まず、触診するからね」
お医者様はそういって、膣の中に指をいれ、
反対の手で下腹部をおさえた。
「うん」お医者様が言った。
なにが「うん」なのか、あたしには分からなかった。
「じゃあ、エコー検査するからね」
膣の中に器材が入れられた。
「ああ、妊娠してますね」
お医者様が言った。
あたしは、頭を殴られたみたいな気持ちになった。
視界が、ゆっくりゆっくり回転しはじめた。
検査薬で陽性が出ても、そういう症状があっても、
ココロのどこかで「やっぱり勘違いでした」
っていう結果が出るのを期待してた。
でも、もうぜったいに否定できないんだ、とやっと自覚した。
「もう、心拍もみえるくらいになってるね」
お医者様の声は聞こえてたけど、あたしは返事ができなかった。
胸がずきずきして、くらくらした。吐き気がした。
「・・・で、どうするか決めてるの?」
お医者様が言った。
「え・・・」
お医者様の声は、
あたしの返事が分かりきっているかのように、優しかった。
「産むかどうするか、だいたい決めてるのかな?」
「たぶん・・・産めないと思います」
やっとのことで言った。
声はこわばってた。
喉に何かがつまってるみたいに苦しかった。
顔がかぁっと熱くなった。
わかりきってることだし、何度もネットでも下調べしてたし、
覚悟もしてたつもりだったけど、苦しかった。
「じゃあ、もう一度話するから、着替えたら診察室に戻ってください」
診察台からおりると、眩暈がした。
診察室では、お医者様が2枚のエコー写真を半分に切っていた。
姉が妊娠したときに見せてもらったことがある。
あかちゃんの写真だ。
お医者様は一枚をあたしのほうに向け、デスクに置いた。
「今、7週と6日だね」そう言った。
「大きさは、1.3センチくらい。順調に育ってはいるよ」
あたしはただ、黙って写真を見つめた。
顔がこわばってるのが分かった。
熱くなってた顔が、驚くほど冷えて固まってるのがわかった。
「もし中絶するのであれば、早いほうがいい」
お医者様が言った。
「ここでは手術はしていないから・・・」
「はぁ・・・」
「病院、紹介してあげようか」
「・・・・・・」
「何か、わからないこととか、ききたいことはあるかな?」
「何も、思いつきません・・・」
お医者様も、看護師さんも、
なんだか気の毒そうな顔でこちらを見ているように思えた。
いつもOCをもらいに行っている婦人科。
「妊娠の検査をしたいのですが」
予約の電話でそういったとき、声が震えた。
その日に限って病院は混んでいて
1時間近く待った。
お医者様はあたしが未婚であることもしっている。
2週間くらい、ピルを飲まなかった期間があること話した。
市販の薬で陽性が出たことも。
「エコー検査のほうが、赤ちゃんの姿をハッキリ確認できるから、
とってみようか」
尿検査の結果もいわずに、お医者様が言った。
「ああ、やっぱりできてたんだ」って思った。
そうじゃなきゃ、まずは尿検査の結果を教えてくれるはずだ。
下着をとり、検査台に座った。
足が震えてた。
「まず、触診するからね」
お医者様はそういって、膣の中に指をいれ、
反対の手で下腹部をおさえた。
「うん」お医者様が言った。
なにが「うん」なのか、あたしには分からなかった。
「じゃあ、エコー検査するからね」
膣の中に器材が入れられた。
「ああ、妊娠してますね」
お医者様が言った。
あたしは、頭を殴られたみたいな気持ちになった。
視界が、ゆっくりゆっくり回転しはじめた。
検査薬で陽性が出ても、そういう症状があっても、
ココロのどこかで「やっぱり勘違いでした」
っていう結果が出るのを期待してた。
でも、もうぜったいに否定できないんだ、とやっと自覚した。
「もう、心拍もみえるくらいになってるね」
お医者様の声は聞こえてたけど、あたしは返事ができなかった。
胸がずきずきして、くらくらした。吐き気がした。
「・・・で、どうするか決めてるの?」
お医者様が言った。
「え・・・」
お医者様の声は、
あたしの返事が分かりきっているかのように、優しかった。
「産むかどうするか、だいたい決めてるのかな?」
「たぶん・・・産めないと思います」
やっとのことで言った。
声はこわばってた。
喉に何かがつまってるみたいに苦しかった。
顔がかぁっと熱くなった。
わかりきってることだし、何度もネットでも下調べしてたし、
覚悟もしてたつもりだったけど、苦しかった。
「じゃあ、もう一度話するから、着替えたら診察室に戻ってください」
診察台からおりると、眩暈がした。
診察室では、お医者様が2枚のエコー写真を半分に切っていた。
姉が妊娠したときに見せてもらったことがある。
あかちゃんの写真だ。
お医者様は一枚をあたしのほうに向け、デスクに置いた。
「今、7週と6日だね」そう言った。
「大きさは、1.3センチくらい。順調に育ってはいるよ」
あたしはただ、黙って写真を見つめた。
顔がこわばってるのが分かった。
熱くなってた顔が、驚くほど冷えて固まってるのがわかった。
「もし中絶するのであれば、早いほうがいい」
お医者様が言った。
「ここでは手術はしていないから・・・」
「はぁ・・・」
「病院、紹介してあげようか」
「・・・・・・」
「何か、わからないこととか、ききたいことはあるかな?」
「何も、思いつきません・・・」
お医者様も、看護師さんも、
なんだか気の毒そうな顔でこちらを見ているように思えた。
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